絵画・アートの見方・選び方 〜ピカソの絵ってどこがすごいの?〜
「絵ってどうやって選べばよいんだろう?」
「ピカソの絵って有名だけど、落書きみたい。どこがすごいの?」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
難しいテーマですが、「絵を描いているときの画家さんの気持ちがわかれば解決の糸口になるのでは?」と思いました。
そこで、絵を見ながらいろいろ考えてみました。
その結果「画家は、風景や人物などのテーマをいかに『表現』するかを考えて描いている事が多いのでは。」と感じました。
●モネのこだわり
モネ「睡蓮」
モネ「睡蓮」
モネ「睡蓮」
まるで間違い探しのようですが、これはすべてモネの描いた「睡蓮」という作品。モネは睡蓮の庭をつくり、何枚もその庭の似たような絵を描いたことで有名です。
自分でつくった美しい睡蓮の庭をいかに自分が感じたとおりに「表現」できるか、その「表現」にこだわり続け、同じ風景を描き続けたのだと思います。
「ぼくのつくった庭きれいだな〜^^。どうやったら、この美しさを表現できるだろう。」
というようなことを考えながら、「表現の改善」を重ね続けたのだと感じます。
そういう想いがなければ、同じ場所の絵なんてめんどくさくて描きつづけられないですよね(>_<)
●無数の聖母子
ラファエロ「聖母子」
ポンペオ・バトーニ「聖母子」
ジョヴァンニ・ベリーニ「聖母子」
美術館に行くと、聖母子(マリアとイエス)など同じテーマの宗教画が無数に飾られています。
画家がみんなで同じテーマの絵を飽きずに熱心に描き続けたのはなぜか?
まずひとつは、身もふたもありませんが、仕事だからです(汗。教会から依頼されて報酬を得るためにやっているはずなので、生活のために描いています。でも、それだけでこれだけ熱のこもった作品をたくさん生み出せるはずがありません。
では何が画家たちを動かしていたかというと、それは、「マリア・イエス」と「愛」をいかにうまく魅力的に表現できるかを突き詰めていたことが画家をここまで熱く動かしていたのだと思います。
●こだわり抜くダビンチ
ダビンチ「モナリザ」
ダビンチの「人体解剖図」
有名なダビンチも写真のない時代にいかに本物のように描くかという「表現」を極めたことで有名です。正確に描くために人体の解剖まで行っていたという凝りようです。
●表現の発明家ピカソ
ピカソ「泣く女」 (参照:Artpedia)
天才として名高いピカソ。ピカソも新しい表現法「キュビズム」を創始したことで有名です。
写真の登場でピカソは焦ります。「本物に近づける方向の絵では、写真にはかなわない。お金持ちの依頼で肖像画を描き、生計を立てている多くの画家にとって危機の到来だ。写真に出来ないことをやらねば。。。」
そこで、いろいろな角度からの顔を一枚の絵にまとめてしまうキュビズムという写真ではできない表現方法を考え出しました。
たとえば、泣き顔を描く時、いろいろな角度からもっとも泣くことを表現できている部分を抜き出し、一枚の絵にまとめました。
ピカソの「泣く女」、泣き顔がうまく表現されていると思いませんか?
●歌手と画家は似ている
歌手はよく自分のことを「パフォーマー(表現者)」と言ってますが、歌手と同様に画家も『表現者』なんだと思います。
歌手は、「歌やダンス」でテーマを表現する人で、画家は、「絵」でテーマを表現する人なんだと感じます。
つまり、絵画の良し悪しは、『表現方法』や『表現へのこだわりの深さ』で評価されているのだと思います。
ということは、絵を見たり選んだりするときのポイントは、その「表現が好きか」「表現にこだわりを感じられるか」が重要になります。
●人気作は表現にこだわりがある
『レントゲンフォト「レッドマグノリア」』
当店の作品でいえば、レントゲンフォトは、花のはかなさ・繊細さを花のレントゲン写真という透明感ある形で表現しています。
『リーフパネル』
リーフパネルは、観葉植物の葉っぱを絵画のように額縁に収めるという表現方法です。両面ガラスを使い、壁を透かせる表現方法も独創的です。
『栗乃木ハルミ 「菜の花の丘III」』
栗乃木さんは、ご自身のたたずんでみたい想像上の風景を追い求め続け、色鮮やかな水彩画として表現しています。
以上のように、絵画・アートは、その表現方法・こだわりに注目して気に入るかどうかで選ぶのが良いと思います。